スポーツ文化を破壊する企業の不条理

一週間振りにハンググライダーショップに行くと、大変な事が起きていた。ショップの内装ががらんとしており、受付をすると、Iさんが独立したのでそちらで話を聞いてくれと言われた。

何が何だか分からず、周りの人に話を聞いたり、新しい独立したショップに行った。私が通っているショップは1年以上も経営難であるスポーツ会社から資金の援助を受けていた。ここに来て、買収となったらしい。

買収した会社はパラグライダーのみを扱うので、ハンググライダー事業はやらないので、喧嘩別れになったようだ。そこで主なスタッフが独立して、ハンググライダー事業を始めたようだ。

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機体の保管は?シャトルバスはどこで乗るのか?機材は借りられるのか?スクールは継続されるのか?

我々お客たちはどうして良いか分からず右往左往していた。まるで、離婚したお父さんとお母さんのどちらについていいのか分からない子供のように。

買収した会社にスクールは継続するか聞くと、我々は関係ないから、新しいショップで聞いてくれ、というかなり横柄や態度。悲しい気持ちで教えられた場所へ行くと、借りたばかりの農家を利用して、新しいショップが出来ていた。まるで、家を追い出されたお父さんみたいな感じだ。

ハンググライダースクールの契約について聞くと、まだその点は不明確らしく、大学生と私と新しいショップの代表が交渉?しに行った。買収した会社の態度は頑で、かなり喧嘩腰での話し合いとなった。

結局の所、新しいショップがハンググライダー事業を引き継ぎ、飛ぶ事はできることになった。しかし、会社は分裂し、テイクオフ場とランディング場もパラグライダーとハンググライダーでは別々になってしまった。

おまけにショップの建物と講習場も買収した会社に取られてしまったので、おそろしく不便になってしまった。会社経営としては、パラグライダーの方が人口が多いので、利潤も多いので、ハンググライダーを切り捨てるのだろうが、あまりにもひどいやり方だと思う。

飛ぶ場所もあり、機材もあり、やりたい人がいるのに続けて行くのが難しいとは、やるせない気持ちだ。国も連盟も役所も誰も助けてくれないのだ(当たり前かも知れないが)。やりたければ、お前らで勝手にやれと言わんばかりだ。

新しいショップではスタッフではない人もいそいそと機材を片付けたり、無線機を持って走り回っていた。みんなハンググライダーを続けたいのだ。

私は毎年、職を失うという事を繰り返して苦い思いをしてきたが、会社が買収されるというのは初めて見た。そこでインストラクター、ドライバーのおじさんたち、スターター、受付の人、社会人のフライヤーたち、学生たちはどうなるのだろう。

今まで、楽しく空を飛んで、雑談をし、また空を飛ぶという。ただ、それすらも許されないのだろうか。企業の論理という不条理を感じた。