エレメントを見つけよう

 先日、子供の夏休み算数教室の案内が送られてきた。それを見て思ったのは、学校で十分時間を使って算数をやっているのに、更に夏休みの時間を使ってまで算数を学ぶ必要があるのかということだ。


 周りの母親を見ていると、いまだに学歴社会への執着に驚いた。彼らはいまだに自分たちの子供たちを学校へ送り込み、良い大学、良い大会社に勤めるべく躍起になっている。高学歴は保険なのだ。


 受験勉強システムを担っている大学・大企業選別システムに適正のある子供はおそらく10%に満たないであろう。残りの90%の子供たちは自分のエレメント(やりたいことと得意なこと)を見つけられなければ、不幸な人生を歩むことになるであろう。


 子供たちに必要なのはエレメントを見つけることなのに、子供の個性を見つめずに、とりあえず保険として受験戦争に送り込んでしまうのは、悲劇と言わざるを得ない。


 家では親が、学校では教師が子供と過ごす時間が多いのだから、彼らが子供のエレメント(を見つけられるはずだが、実際にはそうなっていない。誰も子供のエレメントを見つける助けになっていない。私から経験から、子供たちは学校というシステムの中で膨大な時間が奪われているのだ。


 人間は、小学生までにいろいろな経験をさせ、自分の好きなこと、得意なことを見つけなければならないと思う。小学生まで先入観を持って好き、嫌いを決めない。しかしながら、中学生ぐらいなると自我が芽生えてきて、周りの期待に答えようとしたり、社会のルールに則ったゴールを目指そうとする。すると、本来自分のやりたいことが見えなくなってくるのだ。だから、少なくとも小学生のうちに学校での勉強だけでなく、スポーツや音楽、その他何でも幅広く体験させるということが重要だと思う。その中から、子供を注意深く観察し、彼らのエレメントを見つけてあげることが必要だ。さもなければ、不幸な人間が大量に生産され、日本自体が不幸な国になってしまうのだ。