「正しいかどうかではなく、うまくいっているかどうか」に焦点を当てる

書評 史上最強の人生戦略マニュアル

 この本を読んで感じたのは、この本はかなり心にグサっと来るできれば読まないで済ませたいような現実を突きつけてくるような本だ。あくまでも事実認識を重要視して具体的に戦略を立て、実際に行動することを仕向けるような本だ。だから、読むとどこか胃のあたりがキューとしてくる。
 本書の中で気になったのは、「正しいかどうかではなく、うまくいっているかどうか」という言葉だ。我々は常に自分たちが正しいと思うことをやり、他人にもそれを強制する。私自身も常に正しいと思うことを人に強制してきたように思う。しかしながら、この言葉は我々の常識を覆すような言葉だ。筆者に言わんとしていることは、正しいことを主張していても実際には拉致があかず、事態が好転する他のやり方を試すべきだということだと思う。特に、これからの社会は絶対的な真理(常識)か崩れ、個々の真実が相対的に存在するようになると思う。消費経済の中でも以前の社会のように一般大衆として総括できるようなマスのイメージがなくなって、消費者の行動が予測できず、おなじような趣向を持ったワンパターンの顧客をイメージできなくなった。だから、個人が生きる指針も社会が容認してきた絶対的な真理(常識)に基づいて行動するのではなく、その状況でうまくいくことをするというのが理にかなっているということかもしれない。今の社会状況は、恐竜が絶滅して、哺乳類が絶滅後の地球にはびこっていく段階と似ているような気がする。だから、人生の行動も進化と同じく、何か他の方法を試していくという戦略の方が良いのではないか。すこし、話が現代社会や進化論に飛んでしまったが、とにかく、「正しいかどうかではなく、うまくいっているかどうか」という言葉は私自身の考え方を考え直す一つの機会になるのでないかと思う。