鳥は自分が飛べると信じているから飛べるのだ

 どこかの啓発本で「鳥は自分が飛べると信じているから飛べる」という文章を読んで、どこかうそ臭いと思っていた。しかし、ハンググライダーをやっていて、実はその言葉は真実であると思うようになった。
 ハンググライダーは、大きな羽を担いで、人間が飛ぼうとするスポーツだ。ハンググライダーを始めた当初は、ハンググライダーという重い機体(25kgグラムぐらい)を担いで飛べるという感覚はなかった。
 まだ、平地なら怖くないのだが、練習を続けると、徐々に高い斜面から走って飛ぶようになる。だが、ここの高さまで大丈夫だが、ここより高くなる怖いという高さがある。もしこんな重い機体を担いで走ってこけたらどうなるのだろうと想像をする。こんな重いものを持って飛べるわけがないという考えがよぎるのである。やっとのことで恐怖心を克服して、斜面を走ると、少しだけ滑空状態になって体がふわりと浮く。こんな繰り返しをしていくうちに、機体への信頼?が芽生えてくる。つまり、この機体と自分の体で空中に浮くことができるということが理屈でなく、体感してくるのだ。つまり、飛べる(1mぐらい浮くだけだが)という自信がついてくるのだ。
 信じているから飛べるし、信じていなければ、恐怖心で体がこわばって結局のところ地面に激突してしまうのだろう。信じているということは、飛べる必要条件でもあるのだ。信じているから飛べるのか、飛べるから信じているのか、よく分からない。とにかく、飛ぶためには、信じていることが必須なのだ。