映画ストーカーのコップは主人公三人の比喩

タルコフスキーの映画ストーカーの最初と最後にコップのシーンが出てくる。
ストーカーが眠っていると、椅子の上に置かれた振動して動き出す。しばらくすると列車の騒音がやってくるのだ。
最後のシーンでも、コップが現れる。ストーカーの子供がテーブルの上で三つのコップを眺めている。突然、コップが動き出し、一つは動かず、一つは縁のところぎりぎりでとまり、一つはテーブルから落ちてしまった。その後、列車の騒音がやってくるのである。
この子供に超能力があり、コップを動かしているという説があるが、私はそうではないと思う。この三つのコップは主人公三人の性格を現しているのだと思う。動かないコップは教授(不信感、冷静)、縁で止まるコップはストーカー(未来を見通す預言者)、落ちてしまったコップは作家(感情的、衝動的)を表している。この時の列車は、ハルマゲンドンのような災害や人災の比喩になっている。
映画の中でも予言者ストーカーは、幸福への道を示しているのに、民衆は理解してくれず、苦しんでいるのである。
まさに、三つのコップこそがこの映画のテーマを表しているのである。

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